2025.5.21
先ほど遊びやすさの話が出ましたが、「マリオカート」シリーズはあまりゲームに慣れていない方にも楽しんでいただいていますよね。そういった取っつきやすさのようなもので、意識されていることはありますか。
ゲームに慣れていない方に限った話ではないのですが、
チームではランドマークと呼んでいるんですが、 例えばキノコ型の山など、 わかりやすく気になるような目印をつくったりして 自然に向かう先に視線を誘導できるよう地形をデザインしました。
無理やり「こっちです」と矢印だけで誘導することもできるんですけど、 そうするとどうしても狭苦しくなるというか。 なんとなくコースを走っていると「次は右に行くんだろうな」って、 自然とそっちに行きたくなるようになることを大事にしてました。
「矢印を置くのはあとで」って、みんなよく言ってましたね(笑)。
とはいえ、広い世界を走り回るにあたって、
例えば「ここは十字路だけど、このレースでは右に曲がる」 というような場合、レース中に迷わないように、 特にルートをわかりやすく指し示す必要がありました。
そういうときは画像バンクパーツと呼ばれる道しるべを設置するなど、 地形に変化をつけて「こっちに行く」というのが 自然にわかるように工夫しています。
スピードを出している中で競い合っているのに、 「この道どっちに行けばいいんやろ?」というノイズを入れたくない。 ここは歴代の「マリオカート」シリーズですごく大事にしてることなんです。
なるほど。矢印ばかりで直接的に進行方向を示すのではなく、感覚的にわかるように工夫することで、地続き感と、走っていて気持ちいい感覚を両立させているんですね。でも上級者と初心者では、つまずく場所が違ったりしないのでしょうか。
私は「マリオカート」に長く触れているので、
しかし、初めて遊ぶ方やあまりゲームに慣れていない方は、 開発者が予想しない場所で引っかかったり、つまずいてしまったりします。
なので、今作に限らず、ゲームの中の遊びを設計するにあたっては 得意じゃない人にも遊んでもらって検証することが大切です。 開発者の中に、何人か「マリオカート」をプレイするのが 得意じゃない人がいて、その人を 「お気に入り」にしているんですが(笑)。
その「ちょうどいい慣れてなさ」を持つ開発者に 「はいっ!」ってゲームを渡して。 隣で遊んで見せてもらって、 「なるほどー。それ、わからんかー・・・!」みたいな(笑)。
なんかそれ・・・私のことなんじゃないかと・・・。
(笑)。
佐藤さんは、「お気に入り」です(笑)。動画「Pスイッチミッション」※10には そういう方に遊んでもらうのが必要でしたね。
これまでのノウハウがあるコース設計とは異なり、 「Pスイッチミッション」は今作が初めての試みだったので、 遊んだ人の意見は特に重要でした。
実際にマリオカートが得意じゃない人にも遊んでもらって、 「やっぱりそこ、わからんか~!」って(笑)。 それを繰り返して、あまりゲームに慣れてない方でも 楽しんでいただけるように改良していきました。
※10フリーランモード内で世界中に点在する「Pスイッチ」を踏むと始まるチャレンジ。制限時間内に次々出現するゲートをくぐったり、コインを集めたりするなど、さまざまなミッションがある。
「Pスイッチミッション」って、
でも、フリーランでそのミッションをやったあとでまたレースに戻ると、 ここにルートがあるんだ!って気づいたりして、 なんかちょっとうまくなってるんですよ。
「マリオカート」では、実際に走り回りながら
いろんな遊び方を覚えてもらえるのが一番いいと思っているので、 「ミッションを遊んでいると、自然にできることが増えていく」 っていうのは一つ目指していたところです。ゲーム部分だけでなく、わかりやすさへのこだわりという面では、
今回、世界が広くなってできることがぐっと増えたんですけど、 ややこしくなってゲームを始めるまでに時間がかかる、 みたいなことにはならないようにしたくて。
『マリオカート8 デラックス』から入っている動画ハンドルアシスト機能も改良しました。 これがオンになっていれば、コースから落ちないし、迷わずに進めるので、 小さなお子さまでも、ゲームに慣れてない方でも ゴールまでたどり着けるようになっています。
Nintendo Switch 2 用のJoy-Con 2 ハンドルもつくりました。
スティック操作に不慣れな方でも 直感的にドライブ感覚で楽しく操作していただけると思います。 色もNintendo Switch 2 仕様です。 マグネットでカチャッと簡単に装着できます。なるほど、「マリオカート」ならではのいろいろな気遣いがあるんですね。ところでNintendo Switch 2 で遊ぶうえでは、Nintendo Switch 2 の特徴である
にも対応しているということですよね。ゲームチャットを使うと、どんな遊び方が期待できそうでしょうか。※11ゲームをプレイしている最中に、最大12人のフレンドとボイスチャットができる、Nintendo Switch 2 の機能。別売のUSBカメラを接続すれば、ビデオチャットでお互いの顔を見て遊ぶこともできる。 ゲームチャットの利用条件については、こちらをご確認ください。
今作ではフリーランで友だちと待ち合わせて一緒にドライブしたり、
相手の画面も見ることができるので、 「今砂漠にいるんならそっちに行くわ」 みたいなこともできるんです。
それから、これまでの「マリオカート」だと、対戦すると動画自分の顔が 対戦相手の画面にリアルタイムに表示されるようになります。
みんなでカメラを使えば、 誰がどのキャラを使っているのかがわかりやすくなりますし、 アイテムを当てたときに相手の表情を見るという楽しみ方もあります(笑)。
げっ!という顔とかね(笑)。
「マリオカート」は初代からずっと
画面分割してみんなと一緒に遊べるゲームでしたが、 それがオンラインやローカル通信経由で遊べるようになって、 今回さらにゲームチャットで話しながら、 相手の顔を見ながらできるようになって また一歩進化したなと思っています。それは確かに面白そうですね。では最後になりますが、このゲームを遊んでいただけるみなさんへ、ひと言ずついただけますか。
物量が多いという話も出ましたが、それだけではなく画像フォトモードで写真もいっぱい撮っていただいて、 いろんな思い出をつくってみてください。
BGMは、シリーズの中でも最大の曲数となっています。 それは、この広い世界を飽きずに長く遊んでもらえるように、 サウンドでも後押しできたらという想いがありました。 音楽を聴きながらただ走るだけでも、楽しいと感じていただけるように、 一曲一曲、力を入れて、個性豊かなBGMになることを目指しました。
景色のうつりかわりを耳でも感じていただけるよう、 SE(効果音)にも力を入れましたので、可能な方はぜひ、 テレビや本体の音量をぐっと上げて遊んでいただけると嬉しいです。
今回は広い世界に加えて
「マリオカート」に慣れていない方はもちろんのこと、 タイムアタックをやりこまれている上級者の方にも 満足していただけるようになっていると思います。
新たなモードやミッションも追加されていますので、 広い世界でいろんな走り方を試して、 ぜひ長く楽しんでいただければと思います。
デザイナーとして、今作は「本当にこれ全部つくれるのか!?」と
コースが独立していたこれまでの「マリオカート」では 一つひとつの切り取りでしか見えなかったところが、 さまざまな角度、時間帯、遊ぶモードによっても違って見えますし、 そこにいろんなこだわりを詰め込んでいます。
実は道端の看板一つとっても、ここの看板と、 少し離れた先の看板には関係性がある、とか、 地続きの世界を演出する要素をふんだんに入れているので、 レースの合間にちょっとフリーランで走ってみて 新しい発見を楽しんでいただけると嬉しいです。
ちなみに今回は看板のデザインが画像ステッカーという アイテムとしても登場していて、 マシンにつけられるようになっているので、 ぜひ好きなステッカーを集めて貼って、 レースやフリーランを楽しんでください。
同じ道を走っていても、天気や時間帯によって景色が変わって、
あと、ひとつアピールしたいのが、リプレイ機能っていうのがありまして。 レースが終わった後に自分のプレイを早戻ししたり、早送りしたりして、 見直すことができます。
面白いことが起きた瞬間や、みんなが集まったときの ベストなタイミングをリプレイして、 フォトモードで綺麗な写真を撮ってもらえたらと思います。
では矢吹さん、最後にひと言お願いします。
「マリオカート」はいろんなことが起こるゲームなんです。
もし、「マリオカート」から少し離れている方がいらっしゃっても、 そんな風に思った瞬間を思い出していただいて、 またやりたいなとか、久しぶりにやろうかと 手に取っていただけると嬉しいです。
そして、いまこの話を読まれている方の中には 『マリオカート8』を遊んでいただいた方もいらっしゃると思います。 『マリオカート8 デラックス』も含めて、発売からおよそ10年、 『マリオカート8』を遊んでいただきありがとうございました。
今回の『マリオカート ワールド』が新しい世代の「マリオカート」の スタートだと思っていますので、 ぜひプレイしていただきたいなと思います。
矢吹さんも手ごたえを感じたわけですね。
はい。新しい世代を担うソフトだと!
おおっ!
・・・と、思いたい(笑)。
(笑)。
大きなひとつながりの世界を駆け回る新しい『マリオカート ワールド』、その世界の中でどんな体験が待ちうけているのかが楽しみです。ありがとうございました。